広島の歯科医がブログに挑戦します。

初めてのブログに挑戦です
普段は馴染みのない、歯科の治療 。
歯周病、歯並び、虫歯、審美歯科等々。
皆さん、疑問に思うこと、判らないこと、悩むこと等多いと思います。
たまに雑誌を見ると、とんでもない内容の歯科の記事に接することがあります。
雑誌は読者の気を引くことが第一目標なのです。
多くの人が知っていること、普通のこと、当たり前のことが記事になることはありません。
世の中には様々な先生がおられます。そんな中意表を突く持論を展開されていると、かえって注目されて記事になることもあるのではないでしょうか。そして、この内容に出版社やライターは責任を取りません。あくまで「○○先生の見解を記事にしただけ」だからです。
これから、歯科の治療に関して一 歯科医の立場から発信してみようと思います。

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「詰め物・かぶせ物は10年もたない? 治療で歯を失い続けてきた日本人 」ヨミドクター(2017/6/2)

「詰め物・かぶせ物は10年もたない? 治療で歯を失い続けてきた日本人 」
                        ヨミドクター(2017/6/2)

この表題をみて、皆さんはどんなことを感じられますか。

まず、表題の前半を読んで、
ご自分の個々の歯の治療時期を思い出し、10年は経過しているけど大丈夫だろうか?
と思われた方もおられるのではないでしょうか。一応この表題には最後に「?」が付けられていますが・・

さて問題は、この表題の後半です。
「 治療で歯を失い続けてきた日本人 」 これには、怒りさえ覚えます。
これは、どう読んでも治療をすることによって歯を失っていますよ・・という意味になりますよね。
ならば、治療をしない方が良いのか? そんなことは無いですよね。

ところが・・
そのまま鵜呑みにしてしまう読者もおられるのです。
過去にも似たような報道があったのでしょう・・・
笑い話のようですが、
実際治療に来られていた患者さんで、「治療をしないほうが歯を失わずに済むという報告がある」と力説する方が、
治療に来られていて
大変困ったことがありました。
この方は、奇特にも治療に来られたからまだ良かったのですが、
「こう書かれていたから、私は治療には行かない」とする方が、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

実際この記事の中身を読んでいくと 、「治療よりも予防に重点をおきましょう」という至って自然な内容なのですが。
その表題に、こう書いてはいけないでしょう。

読者は、著者は訴えたいことをそのまま表題に表現していると思いがちですが・・・
とくに商業ベースの著作物では、いかにして注意を引いて立ち止まってもらえるかに重点がおかれるようです。
でも、記事の内容に誤解を生ずるような表現はアウトではないでしょうか。
この記事を書いたライターと、その掲載を認めた上司の良識を疑います。


歯の治療は基本的に、自動車の部品のように何年たったら定期的に交換しないといけないという考え方はあまりしません。
ただし定期的なチェックは大切です。

虫歯の原因は歯垢です。
虫歯は、基本的に歯垢の停滞する箇所に出来ます。
虫歯ができた所は、お口の中で基本的に歯垢が停滞しやすい箇所(磨き方、歯並び等・・)であったといえます。
そして、進歩してきたとはいえ人工物の表面、天然歯と人工物の境界の段差とか、
健全な天然歯の表面の平滑さと比較すると、歯垢はやはり停滞しやすくなります。

 虫歯で治療した箇所には、その後より注意してブラッシング等のケアに努められている方は、
 たとえ10年以上経過していても、過度の心配は無用です。
 
 逆に治療済みだからと、従来通りそのまま放置していると数年も待たずに再発するという可能性もない話ではありません。





「被ばく 体内に総量36万ベクレルか 原子力機構事故 毎日新聞 6月8日」   歯科のX線検査の被爆は?

 日本原子力研究開発機構のセンターで放射性物質が飛散して作業員5人が被ばくされたとの報道でした。
この数値は1年間で1.2シーベルトの被爆に相当するとのことで、少なくない量の被爆で今後の経過が心配されます。

 最近よく耳にする放射線に関係する単位、ベクレルグレイシーベルト・・・
簡単にまとめてみました。
ベクレルグレイは物理的な放射線の強さを表すのに対して、
シーベルトは人体への影響の程度を数値化したものです。
放射線の種類によって身体への影響は異なりますし、受ける場所、臓器によってもその影響の程度は異なります。

Bq(ベクレル)    :放射能量(1秒間に崩壊して放射線を放出する原子核の数)
Gy(グレイ)     :吸収線量(1kgの物体に1ジュール吸収される放射線のエネルギー)
Sv(シーベルト)  :線量当量(吸収線量から生物学的影響への換算値)
シーベルト=[各組織のグレイの値×放射線加重係数(放射線の種類による影響の違い)×組織加重係数
            (組織ごとの影響の受けやすさを係数にしたもの)] を全身すべての組織で合計したもの。

 地球上どこでも自然界に元々存在している放射線があり、それを自然放射線と言います。
世界の平均自然放射線は年間2.4mSv(ミリシーベルト、ミリは1000分の1)ですが、地域によって異なり、最も高い所ではブラジル・カラパリ市等の年間10 mSv。
また高度(標高)によっても異なり、高いところほどその値は高くなる傾向にあります。
例えば飛行機で東京 ⇄ ニューヨークを1往復すると0.2mSv被爆するとされています。

例に挙げた、ブラジル等の自然放射線の高い地域でも癌等の発生率が他の地域に比較して高いというデータは無いようです。

  一方、一般の方が医療で被爆を心配されるのは主にレントゲン検査によるものでしょう。
胃バリウム検査 15-25mSv
腹部CT検査   7-8mSv
頭部CT検査   2mSv
胸部X線検診  0.05mSv

歯科関係では・・
歯科CT検査  (1枚)0.1mSv  (通常、何枚か撮ることになりますが・・・)
歯科パノラマX線(1枚)0.01mSv ( パノラマ 縦横15×30㎝程度のフィルム)
歯科デンタルX線(1枚)0.01mSv ( デンタル 縦横3×4㎝程度のフィルム)
最近はデジタル化されているところも多くなっていますが、被曝量は同程度でしょうか。

いずれにしても、歯科の放射線検査による被爆は医科や、自然放射線と比べてもそれほど高くはないようです。
不必要な検査や被爆は勿論避けるべきですが、歯科でのX線検査は有効な情報が得られることが多いので、
過度に心配はされなくても良いかと思います。
プロフィール

shikai7

Author:shikai7
広島市中区の歯科医師です。
大阪大学歯学部卒業後、阪大歯学部付属病院補綴科に12年勤務した後
広島市中区にて開業。
日本補綴歯科学会 専門医・指導医の立場から、
歯並び・歯周病・虫歯・義歯・・審美歯科まで幅広く疑問に答えていこうと思います。
ホームページ: http://www2.plala.or.jp/OTANIshika/

広島市中区大谷歯科クリニックHP   へのリンク・その他
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