朝の六本木で、自転車に轢(ひ)かれる。

学会参加の翌日。
しずかな日曜の朝、六本木の街を歩いていました。
この先国立新美術館との案内標識をみながら、東京ミッドタウンの高層ビルを横目に、
久々にのんびりとした気分で歩いていました。

ふと耳をすますと、はるか後方から自転車の呼び鈴を連打する音が近づいてきています。
「チリチリチリーン、チリチリチリーン、チリチリチリーン・・」

振り返って見ると、
7~80m後方でしょうか、ママチャリ風の自転車がこちらに迫ってきています。
歩行者優先の歩道で自転車の警告音を鳴らして歩行者を排除するのは御法度のはず。
こんな輩(やから)が、この六本木にもいるのかと、変なところで感心しながら広くはない歩道の端によって歩いてました。

自転車は、絶え間なく呼び鈴を連打しながら後方に迫ってきています。
どうも、自転車の主はひさしの大きい帽子を目深に被った、思ったより若めの女性のようです。
「スミマセーン、チリチリチリーン」 
「スミマセーン、チリチリチリーン、チリチリチリーン、チリチリチリーン」
「スミマセーン」
チリチリチリーンとスミマセーンの連呼と共に近づいて来て、一瞬の間に私の右側を抜き去っていきました。

なんと、呼び鈴連打の主は白人のご婦人でした。

自転車呼び鈴連打=おばちゃん(もしくはオッチャン)という既定路線を完全に覆された私は、
呆気にとられながら、走り去っていく自転車の主を視線で見送っていました。
「さすが六本木・・・」根拠のないフレーズが、混乱したままの頭に渦巻いていました。
 
と、突然・・・
「ガシャーン」という爆音と共に、私の背後に衝撃が走りました。


我が身に、何が降りかかったのか判らないまま経過した時間は、数秒でしょうか・・
我に返ると、そこには子供用の自転車が、斜めになって止まっていました。
なんてことをするんだ、善良(かどうかはともかく)無実な歩行者に後方から不意打ちを食らわせるとは・・
早速非難するところですが・・・、

赤い自転車用のヘルメットを被った自転車の主は、5歳前後でしょうか、青い目をしたかわいらしい白人の女の子でした。
私と視線が合うと「すみませーん」と本当に申し訳なさそうにうつむいています。

こんな罪もない?女の子を非難するような非道はさすがに持ちあわせていません。
思わず息をのみ、声も出ませんでした。
無言の私を見て、おとがめがないと判断したのか、小さな彼女は再び出発していきました。

タイヤに轢かれた足の痛みと共に、ようやく状況がのみ込めてきました。

スミマセーンと呼び鈴連打の白人のご婦人はこの女の子の母親で、
それに遅れまいと必死においかけていた矢先の悲劇だったのでしょう。
この女の子にはなんの罪もありません。
そもそも、こんな小さな女の子を後方に置き去りにして暴走していくから、事故ったのではないか。
母親が悪い、と気がついて前方を見たときには・・・
母親の自転車は、もうとうてい声も届きそうにない、数十メートル先をチリンチリンと走り去っていました。

そういえば、女の子の「スミマセーン」、母親の「スミマセーン」とそっくりだったなあ、

初めてではないかも・・・・

久々に歩いた六本木。 なんともな朝でした。

プロフィール

shikai7

Author:shikai7
広島市中区の歯科医師です。
大阪大学歯学部卒業後、阪大歯学部付属病院補綴科に12年勤務した後
広島市中区にて開業。
日本補綴歯科学会 専門医・指導医の立場から、
歯並び・歯周病・虫歯・義歯・・審美歯科まで幅広く疑問に答えていこうと思います。
ホームページ: http://www2.plala.or.jp/OTANIshika/

広島市中区大谷歯科クリニックHP   へのリンク・その他
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